歯列矯正(歯科矯正)は医療費控除の対象になる?

歯列矯正の費用は、医療費控除の対象になる場合とならない場合、両方のケースが考えられます。医療費控除においては、治療の目的が重視されます。では、どのような条件だと医療費控除の対象になるのか、子供の場合と大人の場合に分けて解説します。

子供の歯列矯正の場合

歯列矯正の費用が医療費控除の対象になるかは、矯正時の年齢や目的で判断されます。歯列の状態から社会一般的に治療が必要と考えられる場合は、歯列矯正にかかった費用が医療費控除の対象にできます。

歯列矯正の代表例として挙げられるのが、発育段階の子供の歯列矯正です。子供の成長には、噛み合わせが大きな役割を果たします。良好な成長を促すための歯列矯正は社会通念上必要な治療と考えるため、医療費控除の対象と考えられます。

年齢が判断の材料になると前述しましたが、成長過程にある子供の歯列矯正については、おおむね医療費控除に含められると考えて問題ないでしょう。

なお、治療に親の付き添いが必要な場合は、親子で利用した公共交通機関による交通費(自家用車による移動のガソリン代や駐車場代などは不可)も医療費控除に含めることができます。

大人の歯列矯正の場合

子供の歯列矯正の費用はおおむね医療費控除に含まれる一方、大人の歯列矯正はどうなのでしょうか。医療費控除の適用には年齢が左右すると前述しましたが、大人だから絶対に医療費控除を受けられないというわけではありません。

見た目を整えるために行う歯列矯正は医療費控除の対象になりませんが、機能的な問題を解決するための歯列矯正は治療にあたり、医療費控除の対象となります。また、動機は見た目の改善から歯列矯正を始めたとしても、治療に該当する処置が行われたならば、医療費控除に含められます。

この場合の機能的な問題とは、噛み合わせが原因で咀嚼がうまくできない、噛み合わせが原因で発音に支障がある、といったように、生活上に問題が生じる場合を指します。機能的な面の問題は専門家でないと判断が難しい場合もありますので、歯列矯正を考えているなら、矯正歯科で治療にあたるかどうか見てもらうとよいでしょう。

そもそも医療費控除とは

医療費控除は、所得税の所得控除のひとつです。所得控除は所得税の計算上、合計所得額から差し引ける金額で、課税所得額を減額する効果があります。納税者それぞれの状況を鑑みて設けられている制度です。

医療費控除は、1月1日から12月31日までの1年間に支払った医療費が一定額を超えたときに適用できます。納税者本人の医療費だけでなく、配偶者や子供など、納税者と生計を一にしている家族の医療費も合算して医療費控除に含めることができます。

デンタルローンやクレジット払いは医療費控除の対象?

歯科矯正の治療費は高額になることも多く、デンタルローンやクレジットカードを利用して分割払いにする場合もあります。

医療費控除では支払方法は問われませんので、デンタルローンでの支払分も、クレジットカードでの支払分も医療費控除に含めることが可能です。

デンタルローンの場合も、クレジットカードの分割払いの場合も、月々の支払いは信販会社への返済であって、治療費分はすでに立て替えられて支払われているため、ローンを契約した年、またはクレジットカードで支払った年分の医療費控除に計上します。

なお、医療費控除に含められるのは治療費の支払分のみで、ローンの利息やカード分割の手数料は含まれないため、注意しましょう。

医療費控除を受けるときの注意点

医療控除を受ける際に、注意しておきたいポイントを紹介します。

・本人以外の歯列矯正の治療費も医療費控除に含められる

医療費控除は、確定申告をする納税者本人だけでなく、生計をともにしている家族も対象に含まれます。そのため、子供の歯列矯正の治療費も含めて医療費控除できます。また、歯列矯正は高額になることも多いので、忘れずに確定申告しましょう。

・保険金の給付を受けたときは控除を忘れずに

歯列矯正は、生命保険(医療保険)の保険金支給の適用外であることもありますが、症状や治療の内容次第では保険金の支給対象になることもあります。保険金の支給があったときは、歯列矯正の治療費から差し引いて医療費控除を計算するようにしましょう。

・領収書は保管しておく

平成28年以前の確定申告では、医療費控除を受ける場合、医療機関から発行される領収書の添付が必須でした。現在は領収書の添付が省略され、代わりに医療費控除の明細書を添付することとなっています。なお、確定申告時に領収書を提出する必要はなくなりましたが、領収書は5年間保存することが義務付けられていますので、確定申告後も失くさないように保管しておきましょう。

・ローンやクレジット利用時は契約書や明細書を保管する

医療費控除を受けるときは領収書の保管が必要であると説明しましたが、デンタルローンを利用すると領収書が発行されないこともあります。客観的な証拠を残しておくためにも、ローンやクレジットカードを利用するときは、利用した日や利用額がわかる契約書、または明細書を保管しておきましょう。

・治療中に年度が切り替わったとき

歯列矯正の場合、複数ヶ月、あるいは複数年にわたって治療をすることも多いかと思います。もし治療中に年度が切り替わったとしても、医療費控除はその年内に支払った治療費の金額で計算します。また、すでに治療が終わっていても未払分がある場合、未払分はその年の医療費控除には含まれない点に注意しましょう。未払分は、支払った年の医療費控除の計算に含めます。

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