子どものうちに行うものというイメージが強い歯列矯正は、大人になってから歯列矯正をはじめるとなると、「効果があるのか」という部分がまず心配ですよね。

ほかにも、「矯正器具をつけたまま仕事に行かないといけないの?」「痛みは?」といったさまざまな不安が付きまとうでしょう。

今回は、大人になってから歯列矯正を考えている方のために、歯列矯正の種類、始めるべきタイミングなどについてお伝えしたいと思います。

始める時期・タイミング

大人になってから歯列矯正を始める場合、いつスタートすれば最も効果的なのかというベストなタイミングを知りたいですよね。

結論からいうと、成人の歯列矯正はいつでもはじめることができます。小児矯正の場合は、歯の生え変わり時期や成長過程に合わせて最適なタイミングがありますが、歯の成長が完了している成人の歯列矯正にはそのようなことはありません。

ただ、早くはじめればその分早く歯並びが改善され、正常で健康な噛み合わせが手に入りることは確かです。

大人の歯列矯正は、「いつはじめるか」ではなく「いつまでに完了したいか」という部分を意識し、計画的に歯列矯正を行うと良いでしょう。

大人の歯列矯正、メリットとデメリット

歯周病治療

「大人になってまで歯列矯正っておおげさかな……」「歯列矯正無しでこれまで過ごしてきたし今更……」と、歯列矯正をすること自体に迷いがある人も多いでしょう。

歯列矯正を始めれば、完了するまでに数ヶ月~数年かかりますし、定期的な通院の手間や矯正器具の装着する煩わしさ、そしてけして安くはない矯正費用が必要です。

しかし、歯列矯正を行うことで、見た目のコンプレックスも解消できます。

大人の歯列矯正のメリットとデメリットを比べながら、歯列矯正の正しい情報を知っておきましょう。 

大人が歯列矯正を行うメリット3

1.見た目のコンプレックスが解消

見た目の問題が改善されることは、歯列矯正の最大のメリットといえるでしょう。笑った時にガタガタの歯並びが人に見えてしまうのは辛いですよね。

歯並びが悪いせいで口がきちんと閉まらなかったり、滑舌が悪かったりして、人と接することがとても億劫だった方も、歯列矯正を行うことで見た目のコンプレックスが改善され、積極的に人と関わることができるようになります。

2.虫歯や歯周病の予防になり、お口の健康を維持できる

歯並びが悪いと、歯と歯の隙間に歯ブラシが届かず十分に歯磨きができません。

そのため、汚れや食べかすが付着したままになり、虫歯や歯周病が進行しやすくなります。

また、歯並びのせいで常に口が開いたままの場合は、常に口が乾いて唾液量が減少し、お口のトラブルのリスクが高まってしまいます。

歯並びを改善することは、長い目で見てお口の健康を守ることになるのです。

3.治療のスケジュールが立てやすい

大人の歯列矯正の場合、成長過程による影響が少ないため、治療スケジュールが予測しやすくなります。

今はじめればいつ頃には治療が終わるという予定が立てやすいので、想定外に矯正期間が長くなって費用や精神的負担が増える、といったことを軽減できます。

大人が歯列矯正を行うデメリット3

1.治療中の見た目が気になる

治療が終われば見た目のコンプレックスが解消されます。しかし、治療中の見た目の問題は歯列矯正の大きな問題でもあります。

しかし、最近の歯列矯正は一般的な金属製の器具のほかにも目立ちにくい器具や表側に器具を付けない治療方法もあります。

自分のライフスタイルにあった治療方法を選べば、治療中の見た目の問題を減らすことができます。

2.治療に伴う痛みや違和感

矯正器具によって今ある歯の位置を動かすわけですから、人によって痛みを感じる場合もあります。

また、治療中は矯正器具を装着し続けるので、食事のときの違和感や舌が器具に触れる不快感が気になる人もなかにはいます。

日常生活に支障が出るほどの痛みがある場合は、歯科医師に相談して調整を行ってもらうことも可能ですし矯正器具のなかにはいつでも取り外すことができるものもあります。

3.虫歯や歯周病になりやすい

治療中は、矯正器具の隙間に汚れが付着しやすくなります。場所によっては歯ブラシが届きにくいこともあるので、普段よりも虫歯や歯周病に気をつけて丁寧なケアが必要になります。

私の歯はどっち? 矯正したほうがいい場合、矯正が必要ない場合

では、「歯並びが悪い」や「噛み合わせが悪い」というのは具体的にどのような状態なのでしょうか。

本人が気にならなければ歯列矯正の優先度は下がります。

しかし、日常生活に支障が出ていたり著しく歯並びが悪い場合には、歯科医院に相談してみるのも良いかもしれません。

一般的に歯列矯正をしたほう良い場合とそうでない場合を判断するための基準をご紹介します。

上下の噛み合わせ

歯並びや噛み合わせが悪い状態を「不正咬合」といいます。

まずは上下の歯を噛み合わせたときの状態を見てみましょう。

正しい歯並びは、上の歯が下の歯よりも2ミリ程度前に出てかぶさっている状態です。

上下の歯がきちんと合わさっていなかったり、上下の歯の隙間が著しく開いていたりした状態は、歯列矯正が必要だと言えます。

歯の向き

通常、上の歯は下向きに、下の歯は上向きに生えています。

しかし、大きく外向きに生えていたり、反対に内向きに生えていたり、左右の歯がぶつかり合うように生えていたりする場合には、歯列矯正で正しい向きに生えるよう治療を行います。

歯が正しい方向に生えていないと、歯ブラシが届きにくく汚れが残って虫歯や歯周病になったり、ほかの歯が押されて健康な歯まで乱れてくる場合もあるからです。

さまざまな歯列矯正の種類と矯正器具

歯列矯正をする上で気になるのが、歯列矯正に使用する器具がどんなものか、というところ。

歯列矯正といえば、金属製のブラケットと呼ばれる矯正器具をつけるイメージがありますが、それ以外にも白や透明のもの、樹脂性のもの、ブラケットではなくマウスピースを使う矯正方法などもあります。

矯正方法の種類と、それぞれの器具をご紹介していきましょう。

ワイヤー矯正 ラビアル矯正(表側矯正)

最も一般的な矯正方法がワイヤー矯正。歯列矯正のイメージそのままに、金属製のブラケットを歯の表側に装着し、ワイヤーで歯を動かす矯正方法です。

ほかの矯正方法に比べて費用が安く、丈夫なのが特徴です。

近年では金属製ブラケットの代わりに、セラミック製やプラスチック製の“審美ブラケット”と呼ばれるものもあります。

審美ブラケットは、ブラケット自体が透明や白色など目立ちにくい色をしており見た目が気になる人にオススメです。

見た目が目立ちにくくなりますが、金属製に比べればやや耐久性は劣ると言われています。

マウスピース矯正(インビザライン・クリアコレクト)

少しづつかたちの違うマウスピース

従来の歯列矯正とは全く違い、自身の歯並びに合わせて透明のマウスピースを製作し、それを装着する矯正方法です。

メリットは透明なマウスピースは目立ちにくく、マウスピースを外して歯磨きができるので、ワイヤー矯正に比べれば虫歯や歯周病のリスクが少なくなります。

デメリットとしては、歯にかかる力がワイヤー矯正よりもゆるやかなので治療期間が症例によっては長くなることもあります。1日に20時間程度のマウスピースの装着が必要なので、負担を感じたりされる方もいらっしゃいます。

また、症例によってはワイヤー矯正よりも費用がかかる場合もあります。

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